口数の多いお父さん

うちでは,毎日,実家の
両親に電話をしています。
両親とも完全な健康体と
いうことではありませんが
おかげさまで健在です。
たしか,父は85歳だったと思いますが
つい,先日のことです。
つい,先日のお話です。
いつもは電話しても
そんなに口数が多くない父が
その日はとってもたくさん
しゃべりました。
声も,とっても張りがあって,
いろいろと話を聞いてみると
その日,いつもお世話になっている
介護関連のケアマネージャーのかたに
ちょっとしたトレーニングの器具が
置いてある体操教室に体験入学というか,
お試しの体操体験に行ってきたんだそうです。
「あのなあ,今日はなあ,
6人ぐらい来てたかな?
その機械というのはなあ,
こう両方の足を機械にそれぞれに
結んでやな,それで両側に開いたり
閉じたりするもんなんや。」
「でなあ,がんばったら結構
早くできるんやけどな。
ゆーっくり,ゆーっくりと
やれって言われるんや。」
「そらあ,それはそれで
なかなかきついもんやで。
でもなあ,何回も続けてやったんや。」
母の話によると,
話をしながら,父は
ドヤ顔をしていたそうです。
ドヤ顔だったらしいです。。。
日ごろは,本当に寡黙というか
最近では,すこし物忘れが多くなり,
もしかして,ちょっと危ないんじゃないか?
とまで思っていたのですが,
その日は違いましたね。
思い過ごしでよかったです。
まあ,なんというか
その日の父は,そりゃあまあ,
しゃべることしゃべること,
それに,声の張りもあるし
話の内容も明確で,
間違いもありません。
話の辻褄もあっているし,
言葉の間違いとか
記憶間違いもない。
信じられないくらい正確でした。
ちょっと前まで元気なかったんです
この数か月,父は
あんまり元気がなくて
「わしはもうあかんのちゃうか?
物忘れもひどなってきたしなあ。
もうあんまり長ないんちゃうか?」
などととっても気の弱いことを
言っていたのがウソのようです。
電話を切ってから
家内とともに大喜びしたのは
言うまでもありません。
で,今回あらためてわかったのは
「これ,やりたい!」
というものができると
人間というのは変わるものだな
ということです。
ちょっと前までは
父もやりたいことが
見つからなかったんだと思います。
やりたいことが見つからなかった
私や家内から
「これはどう?あれはどう?」
といろいろと提案してみても
なかなかこれというのがなくて
「毎日,生きてても,
何もやることないしなあ。
誰かのために何かするということも
別にないしなあ。」
よく口癖のように言ってましたね。
若いときは子供のために
これをするとか,
孫のためにこれをするとか
そういうことが
生きがいだったのが,
子供も孫も独り立ちすると
何もやることがなくなって
それで,あたかも,
自分の存在価値が無くなってしまった。
そんなふうに
感じていたみたいです。
だれかの役に立っている。
本当にやりたいことがある。
誰かの役に立っている,本当にやりたいことがある
こういうことは人間にとって
生きていくためには
ものすごく重要なことなんだな
と改めて教えられました。
あなたは誰かの役に立っていますか?
あなたは本当にやりたいことができていますか?
85歳になる前に
一度,立ち止まって考えてみても
いいんじゃないかと思います。
それがあるのとないのとでは
本当に別人ですから。
ムッシュスカラー
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