いろんなことが出来て、恵まれた環境になってくる。そうすると、それまで全然気にならなかった小さなことが、いろいろと気になってくる。あなたは、そんなことは、ありませんか?
たとえば、ものすごく会社の状態が悪くて、必死になって仕事をしている時には、仕事上の小さなミスについては、とにかく、すぐに、やり直しや修正の対応をすることだけを考えます。その小さなミスについて、「なんでこんなことになってしまったんだろう」と悩んだりはしないわけです。というより、切羽詰まった状態では、必死で対応しないと仕事が前に進みません。ゆっくりと、悩んでいるような時間はないわけです。
でも、ある程度、環境が整ってくると、徐々にですが、そういう細かいことが気になりだします。時間が出来てくると、小さなことで悩むようになりがちですよね。細かいことに、目が行ってしまって、大切なことがわからなくなってしまいます。細かいことに振り回されるようになるという言い方が適切でしょうか?
細かいことに振り回されるようになる
誤解の無いように言っておきますが、ミスについて、なぜそうなってしまったか?それを追求して、改善することは、もちろん大切です。特に、致命的な重大なミスについては、対応だけでなく、原因の追究をして、再発することを防がないといけません。
でも、どうでもいいようなミス、あるいはミスとは言えないが、ちょっと気になること、そんなことまですべて考えていたら、それこそ時間がいくらあっても足りません。そんなことで悩んでいるのは時間の無駄です。
よく言われることですが、今、ここに100の問題があるとして、本当に解決しなければならない問題は、いくつあるかという話です。たいていの場合、本当に解決しなければならない問題は、1つか2つです。その1つか2つの問題を解決するためには、それ以外の問題は放置しておいてもかまわないというお話です。
100のうち、1つか2つの問題を解決すればよい
100の問題を、個別に一つずつ解決していく能力よりも、100の問題の中で、解決しなければならない問題はどれか?それを判断する能力の方が重要だということですよね。
これは、仕事だけでなく、日常のすべてのことに当てはまりますね。自分が何となく気になることの優先順位と、本当にやらなければならない、解決しなければならないことの優先順位は全くちがっていたりします。どうしても自分が気になることを優先しがちですが、実はそんなことはどうでもよいことだったりします。
それよりも、自分としては重要と感じなかった、むしろ目をそむけていたい、そこだけは触れたくない、そんな問題の方が重要であって、そちらを解決しないことには、他の多くの問題も解決しない。そんなことがよくあります。
目をそむけている重要な問題がある
組織で言えば、関係者全員が、それぞれ自分が気になっていることだけを解決して、結局、組織として一番重要な問題が放置されることがほんとによくあります。本当に重要なことというのは、たいていは、全員が目をそむけていることです。
その件は自分は触れたくない、それだけは勘弁してほしい、そんな問題です。でも、それこそが一番重要な課題であることが多いですよね。で、誰も、手を挙げず、手を付けず、解決がされないままに、時間が過ぎていきます。そして、ある時期がきて、大問題になって、大騒ぎになります。組織においてほんとによくあるストーリーです。
部署の責任者は、何が一番大切なことなのか?それを判断する力がないとつとまりませんし、勇気をもってそれを解決するために動かないといけません。そのためには、それ以外の小さなことはとりあえず放置でかまわないわけです。
責任者にとって大切なこと
とは言え、これはなかなか難しいことです。どうでもいい小さな事ほど、みんながやいのやいの言ってきますし、逆に、ほんとに大切な事は、だれもやりたくないことですから、誰も何も言ってきません。誰も何も言ってこない大切な事、それをやると判断したあと、どうやってみんなにやってもらうか?これもまた難しい問題です。
「難しい」という言葉を連発していて、すみません。でも、結局、このような厳しい時代に成長している組織というのは、この難しいことを乗り越えている組織なんだろうと思います。
普通の人の普通の感覚、いわゆる常識でやっていたら会社はつぶれてしまいますよね。この厳しい時代に生き残っていこうと思ったら、普通の人の普通の感覚では難しいです。
普通の人の常識では生き残れない
大切な問題は何かを正確に判断して、その問題を確実に解決していける力が重要です。そのためには、たくさんある問題の中で何が解決しなければならない問題なのかを勇気をもって選択して、それ以外を放置できる精神力(タフな精神)もまた必要だと思います。
だれでもそうですが、自分の時間には限りがあります。大きく言えば自分の命にも限りがあります。つまらないことに時間を使っていたら、人生なんてあっと言う間です。ある程度の年齢になったら、なんでもかんでもやるということではなくて、本当に自分がやるべきことを選んでやっていくこと、それも大切なのかもしれませんね。
ムッシュスカラー