引き算の医療、引き算の健康法

引き算の医療、引き算の健康法
というのを聞いたことはありませんか?

今よりも、より健康に生きるために
何か新しいプラスのことを
「足し算」していくのではなく
すでにやっていることの中で
何かしらマイナスになっていることを
「引き算」していくという医療です。

その中で、今の時代、
よく話題になっているものが
糖質制限による健康法ですね。
今、食べている糖質の量を
「引き算」していくという発想です。

よく言われることですが、
「必須アミノ酸」「必須脂肪酸」
というのが存在するのに対して、
「必須糖質」というのは存在しません。

「必須糖質」は存在しない

「必須アミノ酸」「必須脂肪酸」
というのは、体内では合成が出来ません。
なので、食事で摂取することが
必須というわけです。

それに対して糖質は、
食事で摂取しなくても
人間の体内で合成されます。
いわゆる「糖新生」ですね。

なので、食事では、
必ずしも絶対に糖質を
取らなければならないと
いうことはないわけです。

もちろん、だからといって、
食事の糖質を
完璧にゼロにしないといけない
ということはありません。

糖質ゼロは必要ない

人間の身体にとって、
過剰にならない程度の
糖質の量であれば、
特段、問題はありません。

問題なのは、今の世の中、
多くの人の食習慣において、
糖質の量が過剰になっている
ということです。

そもそも、歴史をたどれば、
農業が始まるまでの、
狩猟採集生活の時代には、
人間が糖質をたべることは
極めてまれだったということが
明らかになってきています。

ちなみに、狩猟採集生活の時代というのは
人類の歴史では圧倒的に長くて
農業が始まって現代までの時間よりも
圧倒的に長いといわれています。
人間の身体のいろいろな調節機能は
その長い時代に適応したものと言われています。

狩猟採集生活に適応している人体

その長い時代への
適応の証拠として挙げられるのが
人間の血糖値の調節のメカニズムです。

血糖値が下がった時に
血糖値を上げるホルモンは複数存在します。
(具体的にはグルカゴン、アドレナリン、糖質コルチコイドなど)
しかし、血糖値が上がった時に、
血糖値を下げるホルモンはインスリンのみです。

この身体の血糖値の調節のメカニズムは
血糖値が低下する事態に対しては
複数のセーフティネットを持っているのに対して
血糖値が上昇する事態に対しては
一つのセーフティネットしか
持っていないということになります。

つまり、人間にとって、
血糖値が低くなることは
日常的だったけれども
血糖値が高くなることは
まれにしかなかったということが
シンプルに考えられますね。

血糖値低下の方が日常的だった

狩猟採集生活を中心にしていた時代には
食事で、糖質を取ることは
極めてまれだったと考えられています。

具体的には、食事のほとんどが、
動物、魚介類からのタンパク質、脂質であり、
糖質というのは、メインではなかったようです。
糖質の主な食材としては、木の実、栗などが
確認されているようです。

ところが、時代が進んで、
人類は農業を始めるようになりました。
人類が、小麦、米などの
穀物を主食にするようになって
人間は糖質を多く摂取するようになりました。

このころから、
糖質の過剰摂取による
様々な健康上の問題というのが
発生してきたようです。

現代にいたっては、
多くの人が、糖質を
きわめて過剰に摂取しています。

現代は糖質過剰の世界になっている

結果として、高血糖になった場合に
血糖値を下げるためのセーフティネットが
疲弊してしまっています。

血糖値が高い状態が続く、
あるいは、血糖値の乱高下(血糖値スパイク)
これらが、健康を害するということですね。

ちなみに、血糖値スパイクというのは、
酸化ストレスの代表的なもので、
様々な健康上のリスクになるそうです。

高血糖状態、血糖値スパイクを
防ぐための手段として糖質制限というのが
あるわけです。

高血糖、血糖値スパイクの
原因になっている「糖質」を減らすということは、
冒頭で書いたとおり、
「引き算の医療」、「引き算の健康法」
に該当しますね。

引き算の医療、引き算の健康法

ただ、糖質制限には、一つ注意点があります。
それは、糖質制限で糖質を減らすだけだと
食事の全体の量が足りなくなって、
おなかが減るのではないかというお話です。

それは、確かにその通りですね。
なので、糖質を減らした分、
その分、脂質、タンパク質は
しっかり食べることが必要です。

糖質制限ではない一般的な食事だと
糖質の割合が多すぎるので、
それをタンパク質、脂質に置き換えて
糖質の割合を減らしていきましょう
ということになりますね。

糖質摂取量を減らすだけで、
そもそも血糖値を上げる原因が減るわけなので、
自然に血糖値は上がらなくなってくるわけです。
糖質の代わりに、脂質、タンパク質を
たくさん摂取しても、血糖値は上がりません。

さまざまな血糖降下剤がありますが、
そのような薬を飲む前提は、
糖質を多量に含んだ食事をしたうえで
当然、上がっていくはずの血糖値を
何とか薬で下げていくという発想です。

血糖降下剤の服用は足し算の発想

いわゆる「足し算」の医療になりますね。

そもそも血糖値を上げる原因である
糖質を摂取しなければ、
血糖値は上がらないので
薬を服用する必要はなくなるわけです。

食事から糖質の割合を減らすという
「引き算」をせずに、
食の習慣を変えないで、
「足し算」をするということで、
何とか対応しようとしてきたのが
これまでの医療、健康法ですね。

今までやってきた習慣のなかで
自分の健康にとって、
マイナスになっているものは何か?

それを明らかにして、それをやめていく、
つまり「引き算」していく。
その方が、理にかなっているわけです。

「引き算」が理にかなっていることがある

ただ、人間の性(さが)として、
それまでに定着してしまった生活習慣を
変えていくというのは
これは並大抵ではありません。

「これまで慣れ親しんだ
生活習慣を変えるぐらいなら
このまま死んでも構わない」
そこまで言う人もいるぐらいです。

というわけで、生活習慣を変えないで
そこに何かを「足し算」することで
何とか対応しようとするわけです。
それが人間という生き物なんでしょうね。

ちなみに、糖質には習慣性がありますが、
たばこにも、アルコールにも
習慣性がありますね。
好きになると、なかなかやめられません。

習慣性があるとやめられない

つまり習慣性があるものは、
そのまま生活習慣になりやすいわけです。

引き算の医療、健康法が
なかなか浸透しないのは、
そのような人間の性(さが)に
よるところが大きいですね。

ちなみに、それとも関連していますが
お金の問題も大きいですね。

医療、健康でお金を儲けることを考えた場合
「引き算の医療」、「引き算の健康」では、
お金は儲かりません。

糖質制限をみんなが行ったら、
血糖値を下げる薬は不要になります。
さらに、糖尿病関連の
さまざまな合併症がなくなりますので
医療費が使われなくなります。

また、スーパーでは、
糖質が入っている食品、
お米、パン、麺類などが売れなくなります。

糖質とお金は関連している

現代というのは、
糖質と関係する様々な分野で、
大きなお金が動いています。

それが動かなくなると、
経済的に困る人が
たくさん出てきます。

これは何も医療の問題に限りません。
そもそも資本主義は、「足し算」の発想です。
「需要の拡大」、「消費の拡大」が
基本になっています。

そして、それが人々の
「所得の拡大」になるわけです。

なので、「引き算」をしてしまったら
需要が減る、消費が減る、所得が減る
必然的にそうなります。
それでは、社会の経済的な発展は出来ません。
ですから、それはそれで困るわけです。

これからの時代は、
「引き算の医療」、「引き算の健康法」でも、
しっかりと経済が回る仕組みを
考えることが必要になるのでしょうね。

いずれにしても、
「足し算」の医療、健康法もありますが、
「引き算」の医療、健康法もあるということ、
一度、考えてみてもいいのではないでしょうか。

 

ムッシュスカラー

 

PS:今、服用している薬の副作用を軽くするために別の薬を併用する。で、あらたに併用した薬の副作用を軽減するために、また別の薬を併用する。そんな感じでどんどん薬が増えていくというのはよくある話です。結局、わけがわからなくなって、「一旦、すべての薬をやめてみたら、とっても快調になった」なんて、笑い話のような話が実際にはよくあります。「引き算」でよくなったということでしょうか。

PPS:断食というのも、一種の引き算でしょうか。断食している間に、人間の身体は、自動的に身体に不要なものを分解して、排せつするということです。これも、究極の引き算なんでしょうね。

PPPS:「糖質疲労」という本が売れているようです。読みやすい本です。おすすめです。

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