評価されにくい仕事

以前、プロ野球の選手の話で
こういう話を聞いたことがあります。

およそ、プロスポーツでは、
野球に限りませんが、
見た目が派手なプレーをする選手が
もてはやされる傾向にあります。

なぜかというと、
一般大衆、つまりは、
お客さんに喜ばれるのは、
お客さんにとって、
とてもわかりやすい、
華麗なパフォーマンスだからです。

たとえば、プロ野球の三塁手で言えば、
三塁線のラインぎりぎりのライナーに
横っ飛びで飛びついて見事に捕球する。

こういうプレーは見ている観客からすると
「運動神経が素晴らしい。さすがプロだ!」
ということで、大喝采を受けますね。

でも、本当のプロの目から見れば
そういう派手なパフォーマンスは
しないけれど、もっと素晴らしい能力を
もっている選手は存在するという
ことなんです。

それはどういう選手か?
想像できますか?

そうです。
横っ飛びなどしなくても
三塁線のライナーが
飛んでくることを、事前に予測して、
身体の正面で処理できる選手です。

次の事態を予測して対応が出来る選手

具体的には、さまざまなデータ、
その時の投手の配給、打者の状況から
次の投球を打ち返せば三塁線ギリギリに
飛んでくる可能性が高いと予測するわけです。

そして、普通の守備位置よりも、
三塁線に近いところに
守備位置を変えているような選手ですね。

事前に三塁線に打球が来ることを予測して
守備位置を三塁線側に移動していれば、
ほとんど動かずに、身体の正面近くで
打球を捕球することが出来ます。

この時には、観客から見れば
打球は、野手の正面の打球に見えます。
野手も、とくに難しい姿勢ではなく
普通の姿勢で難なく処理が出来ます。
観客からしたら、地味なプレーです。
あんまり興奮はしないプレーですね。

なので、この一連のプレーが
どれほど、すばらしいプレーなのか、
みている観客からは、
ほとんど理解は出来ないということです。

観客は理解が出来ないプレー

ただ、勝負にこだわるプロ野球の監督なら
前者の華麗な動きをする選手と、
後者の地味な動きをする選手を比べれば
本音のところを言えば、
後者の選手の方が欲しいということです。

もちろん、データによる予測もできて、
かつ、予測と違った事態になった時には
見事な華麗な動きで、危機の回避もできる、
そんな、両方兼ね備えた選手なら
本当にいうことはないと思いますが…。

ただ、プロ野球のような
ファンの目を無視できない仕事の場合、
後者のような地味な選手は、
ファンからは、理解されにくいです。
大人気の選手には、なりにくいですね。

プロスポーツでは、
お客さんに人気があって、
お客さんが来てくれないと
経営が成り立ちません。
いわゆる「派手さ」がないと
やっていけませんね。

「派手さ」がないとやっていけないが…

ただ、その一方で、
いくら派手でも、
勝負に負け続けていれば
そのうちに、人気がなくなってきます。

勝負ということにこだわるなら、
後者のような地味な選手が
必ず必要になってきます。
これは必然ですね。

さて、こういうことは、
何も、プロスポーツだけに限りませんね。

少し見方を変えれば、
一般企業でも同じようなことが言えます。

たとえば、会社の経営状況が
現状はなんとかなっているが、
まもなく、悪い方向に向かって
落ちていくいくことが
予測できた場合です。

その時に、
現状を分析をして、
すばらしい対策を打って、
結果的に業績を悪化させないで
現状維持で切り抜けたとします。

この場合、社外からみていると
全く何も悪いことが起きずに
会社は、現状を維持しつつ、
何事もなく、事態が過ぎていった
というように見えます。

社外からみると何もなかったように見える

ただ、実際には、
目に見えていないところで、
悪い方向にいかないように、
ものすごい努力をしていたわけです。

そのものすごい努力の結果、
悪い方向にいかないで、
どうにか現状を維持できたわけです。

それにもかかわらず
その努力は、内情を知っている
ごく一部の人にしか評価されない、
そんなことがよくあります。

逆に、会社の業績が著しく上がった場合、
この場合には、業績が上がったことは
社外に、自然に伝わります。

なので、業績を上げた人は
社外からの評価も高くなりますし
当然、社内の評価も高くなります。

すべてとは言いませんが、
多くの場合、ゼロを
大きくプラスにした場合には
大きく評価されます。

評価が違ってくる可能性

一方で、本来なら
大きくマイナスになるところを
マイナスにしないで
ゼロで切り抜けた場合には、
大きく評価されることは少ないです。

もし、自分が、
ゼロをプラスにする仕事ではなくて
ゼロがマイナスにならないように
ゼロで維持する仕事をしているなら
ちょっと評価がされにくい仕事かもしれない、
そこのところは承知しておく必要がありますね。

逆に、自分がゼロを
プラスにする仕事をしている場合には、
ゼロからマイナスにならないように
目立たないところで仕事をしている人が
必ずいるということです。

このことを、やはり
承知しておく必要がありますね。

仕事は役割分担

仕事というのは、究極的には
役割分担です。
どの役割が欠けても
やっていけなくなります。

そのあたりを、
忘れないようにすることが
組織を理解して、
組織の中で生きていく上では、
とても大切なことなのかなと思います。

 

ムッシュスカラー

 

PS:役割分担は、仕事だけではありませんね。家庭を持っているかたは、家庭も役割分担の世界です。というか、むしろ、こちらの方が、仕事よりも、ずっと重要ですよね。家庭がうまくいっていないと、仕事がうまくいったとしても、幸せからは、ものすごく遠くなってしまいます。人生においては、仕事よりも家庭の方が重要ですね。それは間違いないことだと思います。

PPS:ちなみに、大きくマイナスになってしまってから、プラスに持っていく仕事をした場合、これは、外から見ていても、わかりやすいので大きな評価がされますね。評価を上げたい場合には、そこを狙うのも一つの考え方かもしれませんね。ただ、そのためには、そこまで自分が生き残っていることが前提になります。それはそれでリスクはあるのかなと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です