若いころから意識していることがあります。
それは、どういうことかというと、
「背すじを伸ばす」
ということです。
うちの両親は、私に対して
「こうしなさい。ああしなさい。」
というのは、全くといっていいほど
言わなかったのですが、
「背すじを伸ばしなさい」
これだけは、いつも言われていました。
なので、座っている時も、
ちょっと背中が丸まっていると
「はい、背すじを伸ばして」
と、よく注意されたものです。
それもあって、小さいころから
「背すじを伸ばす」ということは
いつも気を付けていました。
たまたまかもしれませんが、
高校の先生、また、人生の恩師
そういう方々も、なぜか、
「背すじを伸ばしなさい」
とおっしゃったので、自然と
それを常に意識して
毎日を過ごしていたという感じです。
ただ、最近、思うことがあります。
若い時はそれでよかったんです。
意識さえしていれば、
ちゃんと身体が、意識したとおりに
動いてくれましたから。
若い時はそれでよかった、でも…
「背すじを伸ばさないと」と思えば、
自然と身体中の筋肉が動いて
意識したとおりに、しっかりと
背すじを伸ばすことが出来ました。
ところが、年を取ってくると
しっかりと意識していたとしても、
身体がついてこない、
意識した通りに身体が動かない
ということになってくるんです。
具体的に言うと、
こういうメカニズムになります。
若い時には十分にあった筋力が
年齢を重ねるとともに、
少しずつですが衰えてきます。
その結果、自分で意識した姿勢を
意識したとおりに維持しているつもりでも
実際には、筋肉の力が足りていないため
自分が意識した通りの姿勢には
なっていないということです。
思った通りの姿勢になっていない
背すじを伸ばすためには、
背中側の筋肉が強くないといけません。
背中側の筋肉が収縮することで
身体をそらせることが出来るわけです。
もちろん、最終的には、
お腹側と背中側の
筋力のバランスになりますから
お腹の側の筋肉も、それなりに強くないと
背すじをまっすぐに維持することはできません。
腹筋については、なんとなく
「毎日、鍛える」ということについて
わかりやすいイメージがありました。
わりと、世間でもよく言われていますね。
また、腹筋が割れていると、
見た目もかっこいい、
そんな観点からもなじみがあるのが
腹筋かもしれませんね。
でも、背筋(はいきん)については、
腹筋ほどは、「毎日、鍛える」
というわかりやすいイメージが
ありませんでした。
世間でもあんまりメジャーでは
ないような気がします。
というのも、
この背中側の筋肉というのは
あまり目立つ場所ではありません。
「背筋(はいきん)が
盛り上がっていてかっこいいね」
というように、背中の見た目を
気にしている人は、
あんまりいないと思います。
それと、現代の日常生活では、
背筋(はいきん)というのは、
意識して使われることが
それほど多くないからなのでしょうね。
背中側の筋肉はあまり意識されない
現代は、機械化が進んで、
肉体労働が減りました。
その結果、重いものを持ち上げるために、
背中とか、お腹とか、腰の筋肉を
ぎゅっと引き締めるような動きは
本当に少なくなりました。
そのせいか、現代人は、
ギックリ腰がよく起きるようですし
そこまでいかなくても、
時々発症する腰痛に苦しむ人が
たくさんいます。
かくいう私も、その一人です。
ただ、若い時は、背筋(はいきん)を含めて
筋力がそれなりにあったのでしょうね。
なので、腰痛というのは
あまり感じたことはなかったですね。
今から思えば、若い時は
背すじを伸ばすことを意識しただけで、
背筋(はいきん)を含めて、自分の筋肉が
自分の意識の通りに
動いてくれていたんでしょうね。
ところが、年齢を重ねて、
この背中の筋肉を使わない状態が
ずっと長く続いてくると、
「ああ、いかん。背中が丸まっている」
と感じて、背すじを伸ばそうとしても、
筋力が足りません。
なので、背すじが伸びなくなっているか、
伸びたとしても
わずかな時間しか維持できません。
すぐに、もとの丸まった背中に
戻ってしまうのですよね。
なぜ、そうなるかと言えば、
それは、筋肉が衰えているからですよね。
姿勢を整えているのは筋肉
姿勢を整えているのは、筋肉です。
筋肉が骨格の位置を正常なところに
維持する働きをしています。
複数の筋肉が正常な強さで、
相互にバランスを取ることで
身体の骨格というか、
身体の姿勢というものは、
理想的な形に維持が出来ます。
腹筋はそれなりにあったとしても
背中側の筋肉が衰えたら、
上体をまっすぐに維持できなくなります。
つまり、背すじが伸びなくなります。
そうなると、自然に
身体は前かがみになります。
また、肩甲骨の上あたりの筋肉が
衰えたら、肩を正常な位置に
維持することが出来なくなって、
肩が身体の前に回り込んできてしまいます。
この二つが揃うと
背中が丸まり、両肩が前に回り込んだ
典型的な老人の姿勢になります。
典型的な老人の姿勢になる
で、ここで、大きな問題は、
いくら意識だけ高めても
ダメだということです。
いったん筋肉が落ちてしまうと
どんなに「背すじを伸ばして!」と意識しても
意識通りには出来ないということです。
たとえ理想的な姿勢が出来たとしても
ほんの一瞬だけだということです。
十分な筋力がなければ、
少し時間が経過すると、
すぐに背すじは丸まってしまいます。
どんなに頑張って意識しても
どんなに強く意識したとしても
意識だけでは難しいということです。
意識だけではどうしようもない
背すじをのばした状態を保ちたい
そう思うのであれば、
筋トレをして、筋肉を鍛えて
必要十分な筋肉量をつけることです。
意識した通りの姿勢を
常に維持できるようにするには、
これしかありません。
つまり、筋トレというのは、
単純に筋肉を鍛えるということ以上に
「姿勢を理想的な状態に維持する」という
とても大切な意味合いがあります。
人間でも動物でもみんなそうです。
二足歩行のため、あるいは四足歩行のため、
衰えさせてはいけない筋肉があります。
その筋肉の筋力が維持できなくなれば、
歩けなくなるということですね。
でも、今の我々にとって、
それほど筋力の重要性が意識されない理由は、
少しくらい筋力が衰えても、
一気に歩けなくなるわけではない
ということだからでしょうか。
徐々に筋力は低下していきます
人が歩けなくなるには
かなりの時間がかかります。
理想の健康状態から、
一歩も歩けなくなる状態まで、
すこしずつ、本当に少しずつ、
筋肉が衰えていく、
だから危機感がないんでしょうね。
ある日、思ったように足が前に出なくなって
つまづいて転倒して、大けがをする。
その時に、はじめて、事の重大さがわかる。
そんな感じでしょうね。
でも、逆に言えば、
そんな日が訪れないように
適切な強度と、適切な頻度で、
筋トレをずっとやっていけば
年をとっても、若者のような姿勢を
ずっと維持することができる
ということになります。
出来る限り、死ぬ直前まで、
若々しく健康でいたいものです。
そのための必須条件は、
筋肉を良い状態で維持すること、
それが第一になるようです。
なので、適切な筋トレというものを
年をとればとるほど
ますます意識して実行していくことが
健康寿命を延ばす意味でとても
大切なことになりますね。
どこまで出来るかわかりませんが、
とりあえず、今、出来ることを
今、出来る分、がんばりたいと思います。
ムッシュスカラー
PS:ここしばらくの間に、筋トレというもののイメージが変わりました。それまでは、ただ「筋力をつけた方がかっこいいかな」という程度の感じでしたが、今は、「筋力をつけるのは、健康を維持すること直結している」という感じになりました。よくよく考えてみれば、本当にそうだなと思います。