「自分自身が一番信用できない。」
これは、私が信頼する
ある知り合いの言葉です。
「ええっ?何それ?」
って、思いますよね。
私も、最初に聞いた時には、
そう思いました。
でも、よくよく話を聞いていると
「なるほどなあ。」と思うことが
たくさんあったんです。
それは、どんなことかというと、
よーっく考えてみれば
あなたも思い当たることだろうと思います。
たとえば、あなたが、
「今日から、絶対に嘘をつかない。」
と決めたとします。
まわりの人にも
そう宣言したとしますね。
あなたが「嘘をつかない」と宣言すると
そうすると、周りの人というのは
「そうですか。わかりました。」
ということで、了解してくれます。
その時から、周りの人は、
あなたが言ったこと、つまり
「あなたは、今日からは、嘘をつかない。」
ということに関しては、
あなたを冷静に観察することになります。
冷静に観察するというのは、
あなたが、嘘をついているか、
嘘をついていないか、
具体的な事実をもとに、
客観的に判断をするわけです。
事実をもとにした
冷静で客観的な判断であれば、
その判断は、適切なものであり
信用が出来ると言えます。
冷静で客観的な判断は信用できる
一方で、あなた自身は
あなた自身について、
どのように判断するでしょうか?
人は、多くの場合、
自分自身のことというのは、
よくわかっていません。
他人からみたら、
「それ、嘘ついていますよ。」
と言われるようなことが、
自分自身に対する、自分自身の判断では、
「いやいや、嘘ではないですよ。」
というようなことが、
本当に山のように出てくるわけです。
自分のことを自分でみる場合、
自分を、事実よりも良い方に考える、
あるいは逆に、
自分を、事実よりも悪い方に考える、
そんなバイアス(偏り)が
知らない間に、かかっています。
自分をみる場合はバイアスがかかる
冷静に、事実をもとに
客観的に判断しているつもりでも、
こういうバイアスから、
完全に逃れることはできません。
他人から、あなたを見たら、
「なんでそんなことがわからないの?」
というようなことが、
「全然、理解できない。ありえない。」
なんてことが、あたりまえにあります。
そこのところを指して
冒頭の言葉があります。
「自分自身が一番信用できない。」
ということです。
でも、逆に言えば、
「自分自身が一番信用できない。」
と言える人というのは、
自分自身のことを、
かなり正確にわかっている人です。
おそらく、ほとんどの人は、
「自分自身がどういう人間であるのか?」
そのことについて、全くと言っていいほど
わかっていないということですね。
人は自分自身のことをわかっていない
私自身も、私自身のことについて、
「よくわかっていないなあ」
と思うことが本当によくあります。
あなたはいかがでしょうか?
自分のことというのは
自分でわかっているつもりでも、
実は全然わかっていない
その可能性が極めて高いということですね。
「自分自身を客観的に見る」
というのは、言葉では簡単ですが、
現実には、ものすごく難しいです。
「客観的」の反対語として
「主観的」という言葉がありますが、
自分自身のことを考える時に、
主観的ではなく、客観的にできる人は
本当にまれだと思います。
というか、自分自身のことを
客観的に判断するというのは
ほぼ不可能だろうと思います。
なので、優秀な人ほど、
自分以外の信頼できる人に、
アドバイスを求めるわけです。
優秀な人ほどアドバイスを求める
優秀な人ほど、
優秀なアドバイザーというか
優秀なコーチを身近に置いていますね。
それは、優秀な人は、
「自分自身が一番信用できない」
ということをよくわかっているからですね。
いかがでしょうか?
すべて自分自身の考え、
すべて自分自身の判断だけで
正しい選択を継続できるなら
それはそれで問題ありません。
でも、判断をする内容について、
自分自身が関わる度合が
強くなれば、強くなるほど、
人というのは、正確な判断を
くだしにくくなるようです。
そのあたり、すこし、立ち止まって
信頼できる人に、アドバイスを求める、
そういう姿勢は大切です。
アドバイスと判断は別
ちなみに、求めるのはアドバイスです。
「アドバイス=判断」ではありません。
そのアドバイスをもとに、
判断するのは、あくまで、自分です。
なので、最終的にくだした判断に対して
責任を取るのは自分です。
アドバイスをしてくれた人ではありません。
そこのところを、間違えてはいけません。
うまくいかなかった時に、
「あの人がこうアドバイスをしたから
自分はこうしたんだ。
こうなったのはあの人のせいだ。」
なんてことを言うのは筋違いです。
アドバイスをしてくれた人が誰であろうと
アドバイスの内容がどうであろうと
最終的に、判断したのは自分です。
うまくいっても、うまくいかなくても、
すべて、最後は、自分の責任です。
結果を、人のせいにしてはいけませんね。
自分が判断するための参考情報として、
アドバイスやコーチの内容を
利用するということです。
でも、頭ではわかっていても、
うまくいかなかった時には、
ついつい、人のせいにしたくなる。
文句を言いたくなる。
これも、自分のことが
よくわかっていない証拠です。
でも、やってしまいがちですね。
改めてですが、
自分のことというのは難しいです。
永遠の課題ですね。
ムッシュスカラー
PS:年齢を重ねても、自分自身が深く関わる案件についての判断というのは難しいです。自分のことというのは、良く見えたり悪く見えたり、いろいろです。自分に関しては、それ以外に比べて、圧倒的に情報量が多いだけに、スパっと割り切るというのが難しいです。ただ、このあたりも性格でしょうね。自分自身のことでも、スパっと即座に割り切れる人もいます。自分がそういう性格ではないので、そういう人を見ると、すごいなあと思います。