ボクシングの世界チャンピオンの
井上尚弥選手の話ということで
聞いたことがあります。
御存じのように、井上選手は
圧倒的な強さで、プロになってからは
無敗の選手です。
無敗というだけですごいですね。
でも、その聞いた話というのが
これまた、すごい話でした。
というのも、井上選手というのは
試合のためのシミュレーションを
徹底的にやるそうなんです。
もちろん、勝つための
シミュレーションをするわけですが、
特に、自分が不利になった時の
シミュレーションを徹底的に
やるということなんです。
たとえば、試合の序盤に
足がスリップして、
不用意に相手のパンチをもらって
ダウンをしてしまった。
そんな状況のシミュレーションです。
不利な状況のシミュレーション
圧倒的な力量のチャンピオンが
ダウンをもらうことなど
それまでの戦績から考えても
まずありません。
なので、我々のような素人からすると
そんな場面は、普通、あり得ない。
もし、序盤で、ダウンをもらったら
あわてるのではないか?
そんなことを考えてしまいます。
ところが、井上選手は
そういうケースも想定して
徹底的なシミュレーションを
しているそうです。
もし、想定していなかったダウンを
もらった時にどうするか?
想定外の状況のシミュレーション
その時のシミュレーションはこうです。
会場は絶対的なチャンピオンの
予想外のダウンにどよめいている。
異様な雰囲気の中にある。
その中にあって、
まず、会場のどよめきは、気にしない。
カウント5までは、立ち上がらない。
気持ちを落ち着かせて、体力を温存する。
カウント7で立ち上がる。
そして、カウント9から再開する。
というようなシミュレーションです。
我々のような素人からすれば、
無敗のチャンピオンがダウンを
したのですから、カウント3とか
カウント5とかまでに
できるだけ早く立ち上がって
ダメージが少ないことを
アピールするのがベターではないか
なんて、思ってしまいます。
ところが、違うんですね。
冷静に判断して、カウント9まで
立ち上がるのを意図的に遅らせて
冷静にリカバリーをするということです。
想定外の状況下の判断
実際の試合でも、
そのシミュレーション通りでした。
めったに見られない
井上選手のダウンシーンでも、
全く動じることなく
シミュレーション通りの
動きを実行していました。
ダメージを最小限にして
見事にリカバリーを行って
最終的には勝利を収めて終わる、
ということを実践しています。
だからこそ、無敗、常勝を
維持できるということですね。
こういうスーパースターを
世間では天才と呼びますが、
この「天才」の中には、
このような、あらゆる不利な場面を
想定したシミュレーションの能力も
含まれていると考えるのがよさそうです。
シミュレーションの能力
こういう話は、
何も勝負事だけではありません。
日常の仕事や、自分の健康管理でも
不利な場面を想定して
シミュレーションをやっておくのが
いいのかもしれませんね。
あらゆる不利な場面を想定して
シミュレーションを実施する。
そのことによって、
いわゆる「想定外の事態」をなくす、
それが出来るのが理想ですね。
ムッシュスカラー
PS:実際の(リアルの)行動に移す前に行うのがシミュレーションです。自分の不利益を最小限に、できればゼロで抑えるためには、まずシミュレーションを徹底的にやることです。そのうえで、リアルの行動に移すのがよいのだろうと思います。もちろん、リアルの行動の試行錯誤も大事です。ですが、リアルの行動で不利益を被った場合の不利益が大きすぎる時には、リカバリーが不可能になります。その点を意識するとシミュレーションの重要性がわかります。