子供にお金を残すのは
あんまりよろしくないね。
若いころに先輩に言われたことがあります。
その時には、なぜそうなのか?
あまりよくわかりませんでした。
当時、自分の親の世代というのは
子供のために、たとえば、
「土地付きの家を残す」、
「ある程度のお金を残す」、
そういうのが一般的だったのかなと思います。
私の親の世代というのは、
戦中、戦後の厳しい時代を
何とか生き残ってきた世代です。
家を空襲で焼かれて
コメが無いのでイモを食べながら
何もないところから、
生活を始めたような世代ですね。
とにかく、自分達が苦労した分、
子供達には、苦労をさせないように
残せるものは残してやりたい、
そういう気持ちは少なからず
私の親の世代の人たちには
あったのではないかと思います。
ただ、だからといって、
「子供達にお金を残す、財産を残す
それは、あまりよろしくない」
というのが、冒頭の先輩の
言葉なんですね。
その先輩曰く、
「自分が死んだあと、子供達が、
お金でもめることがないように
死ぬ時には、自分のお金は
ゼロにしておくのが理想的だ。」
なんてことも言ってましたね。
まあ、確かにそうだと思います。
みんなが聖人君主ではありません。
どんなに親族で信頼関係があっても、
お金が絡むとややこしくなることがありますね。
お金が絡むとややこしくなる
若い時は、よくわかりませんでしたが、
今なら、かなり現実的な問題として
実際、その通りに出来るかどうは別にして、
なるほどなと思うところはありますね。
また、「子供達がもめないために」
というような理由でなくても
自分自身のお金に対する考え方としても
この先輩の言葉には、
なるほどなと思うところがありますね。
当たり前と言えば、当たり前ですが、
死ぬときに、いくらお金を持っていても
死んでしまったら、そのお金を
使うことはできません。
また、これも当たり前ですが、
「そもそも、お金というのは
使うためにあるのであって、
貯めることが最終目的ではない」
ということです。
ここが、結構大切なポイントです。
お金は使うためにある
この世知辛い社会で
長い間生きている間に、
「お金は使うためにある」
という、至極、当たり前のことが、
当たり前でなくなってしまっている、
そんなことがけっこう
多いのではないでしょうか。
もちろん、これも
100ぜロではありません。
最低限の生活を送るために
最小限の貯金というのは必要です。
それは否定しません。
ただ、30年にもわたる
不景気に慣れてしまった今では、
お金を貯めることや、
ものすごい節約をすることだけが、
人生における目的になってしまう、
そんな感じもありますね。
不景気が続く中で、
まるで「お金を使うことはよくないこと」
そんなイメージが普通であるかのように
世の中が動いてきました。
世の中の空気にあらがいにくい
こういうのは、
世間の空気というべきもので
空気にあらがうというのは、
なかなか難しいものがありますね。
でも、世間はどうあれ、このあたりで、
お金にたいする考え方を変えてみる。
「お金は使ってこそ意味がある。」
そう思えば、少し、日々の生活が
変わっていくかもしれません。
「収入が少ないので、節約するしかない。」
それも一理ありますが、節約するだけでは、
人生そのものが楽しくありません。
これも、100ゼロではなくて、
節約しつつも、使う時には
気持ちよくパーッと使う。
気前よくお金を使って
自分の人生に楽しい思い出を残す、
そういう時間も必要ですね。
もちろん刹那的な使い方ばかりではなく
計画的に、長期的に、
何か好きなことをやり遂げるために
お金を使うことでも構いません。
好きなことにお金を使う
いずれにしても、
銀行預金の残額が増えること、
あるいは減らないこと、
それだけを喜んでいるのでは、
人生、ちょっと、
物足りないと思いませんか?
やっぱりお金は
使ってこそ意味があります。
銀行預金に眠らせておくだけというのは
本当にもったいないと思います。
使ってこそ、初めて意味が出てきます。
個人的な話ばかりで恐縮ですが、
うちの両親は、二人とも、
亡くなる前の数年間というのは、
入院してしまって、
ほとんどお金は使わなくなりました。
というか使いたくても使えなくなりました。
でも、年金はそれなりに
振り込まれていて
入院費用を払っても、
少しお釣りがくるくらいはありました。
そうなると、銀行預金残高は
年金が入るたびに、少しずつですが
増えてくわけです。
でも、両親が、そのお金を
何か自分の好きなことに使うということは
とうとう亡くなるまでありませんでした。
お金を使えないままに亡くなる
当然ですが、同様のことは、
将来の自分にも起こりえることです。
入院して動けなくなれば、
お金を使いたくても使えません。
どんなにお金があっても、
それは何にもなりません。
なので、お金は、
自分が自由に使える間に
自分がこれだと思えるものに
どしどし使っていくのが
ハッピーなのかなと思います。
ちなみに、
自分にとってこれだと思うものは
人によって全然違います。
なんでもいいと思います。
また、この「お金を使う」ということは
個人の話だけでなくて、
社会全体での話として考えても同じです。
社会全体としても、
お金は貯めるのでなくて使うことで
みんながハッピーになります。
自分がお金を使えば、必ず誰かに、
そのお金が回っていきます。
お金は使うことで社会全体に回っていく
で、その人が、そのお金を使えば
また、誰かにお金が回っていきます。
そうやって、お金が回っていくことで
自動的に、みんなの生活が豊かになります。
逆に、誰もお金を使わなくなる、
つまり、お金が銀行預金の中に鎮座して
どこにも動かないということになると、
社会全体にお金が回らなくなる。
社会全体で見れば、
誰かの支出が、必ず誰かの収入になります。
ということは、みんなが支出しなくなれば、
まわりまわってみんなの収入がなくなっていく、
つまり、みんなの生活が苦しくなっていく
ということです。
お金を使わなければ、
銀行預金の残高は多いままです。
減ることはありません。
でも、それだけです。
お金を使わないと、
ほとんど変化のない生活になって
日々の生活の抑揚がなくなります。
毎日がつまらなくなりますね。
なので、やっぱり、
自分の収入に応じて、無理のない範囲で、
お金はどんどん使うのがいいと思います。
無理のない範囲でどんどんお金を使う
もちろん、無駄使いは避けたいですが、
何が無駄で、何が無駄でないかは
神さまでもない限り、わかりません。
なので、それについては、
「使ってみないとわからない」
と割り切ることでしょうね。
たとえ、使ったお金が
全部無駄になったとしても、
当面の生活に困らない、
その範囲であれば、気前よく
使っていいんじゃないでしょうか。
お金を節約するだけで
ほとんど使わないというよりは
その方が建設的ですよね。
気持ちが明るくなります。
ということで、
少し取り留めのない内容になりましたが、
子供にお金は残さない。
お金というのは、使うためにある。
お金をため込んだまま死んでしまうというほど、
もったいないことはない。
最近読んだ本で、
昔、聞いた先輩の言葉と
同じことが書いてあったので
今日は、ブログで触れてみました。
ムッシュスカラー
PS:最近、読んだいくつかの本で、先輩が言っていたことと同じことを書いている本がありました。最近、そんな本によく出会います。年を取ったせいかもしれませんね。
PPS:人生について、いろいろな考え方がありますが、人生は修行のためにあるというよりは、楽しむためにあると考える方が楽しそうですね。そもそも人生がどうあるべきかについて、みんなに共通の正解などないのでしょうね。自分が思うように、自分が好きなように考えれば、それでいいと思います。