久々に、大きな本屋さんに行きました。2年ぶりくらいかもしれません。本当に久しぶりでしたね。最近では、本については、Kindleはもちろん、紙の本も、ほとんどすべてをインターネットで購入してました。
また、この2年くらいは、コロナ禍ということもあって、必然的に外に出られませんでしたよね。大型書店も営業出来ないところが多かったのかもしれませんね。なので、大型書店に行くのは本当に久しぶりでした。
実際に行ってみると、久しぶりという感覚はもちろんですが、同時に、とっても新鮮な気持ちになれました。なんというか、心がパーッと開けるというんでしょうかね。そんな明るい気持ちです。
パーッと開ける感じ
たぶん、そんなパーッと開けた気持ちになった理由は、最近のインターネットでの本の売り方と関係しているのかもしれません。
たとえば、今、インターネットのアマゾンのサイトでいろいろと本を検索したとします。そうすると、1回、本を検索しただけでも、その次に、アマゾンのサイトに行くと、前に検索した本と、似たような本をどんどん紹介してくれますよね。
また、「この本を買った人は、こういう本も買っています。」という情報もどんどん表示されるようになってきます。見事な広告の手法だと思います。システムが自動的に自分好みと考えられる本を推奨してくれるんですね。
システムが好みの本を推奨してくれる
このシステムは、顧客にとっては、とっても便利なシステムです。自分好みの本を勝手に選んでくれるので、自分で選ぶ手間が省けますよね。実際の本屋さん(リアルの本屋さん)では、店員さんに、「この本と同じような本はどこにありますか?」と聞かないとわからなかったことが、瞬時にわかるということですからね。
で、どんどん自分の好みの本を次から次へと紹介されて、「おお、この本も面白そう。」と思って、ついついポチッと購入ボタンを押してしまうという感じです。そうやって、どんどん売り上げが上がっていくというシステムになっていますね。
いつ頃から、こうなったか、よくわかりませんが、本当にこのシステムは便利です。実際、私もよく利用しています。
ふっと感じること
でも、ふっと感じることがあるんですね。それは何かというと、ずっとこのシステムの中にいると、なんというか自分の人間の幅がだんだん狭くなっていってるような感じがするんですね。
人間の幅と言っても、身体が太ってるとかやせてるとかではありませんよ。知識とか教養の幅の広さという意味での幅です。便利だということは120%認めるのですが、すこし息苦しい感じがしないでもないです。
ちょっと息苦しい
まあ、自分が好きそうな本をたくさん読んで、好きなことを徹底的に極めるということについては、何の問題もありません。ただ、これも、あまりそこだけに行き過ぎて、他のことは全く見向きもしないとなると、バランス感覚がおかしくなりそうな気がします。
はじめのほうに書いた、心がパーッと開けた感じというのが、どういうイメージかというと、こんな感じです。
日差しが届かないような、うっそうとした雑木林の中で、細い一本道をずっと進んでいた。そうしたら、目の前が急に開けて、大空と大きな原っぱが現れた。そんなイメージですね。
先ほども書いたとおり、現代のインターネット上では、AI(人工知能)を使ったおすすめ本の推奨というのが行われています。AIが、自動的に、その顧客が購入しやすそうな本を選んでいるということです。この状態が普通になると、自分が気づかないうちに、どんどん自分の好みの世界だけに、深く入り込んでいくような感じになります。
自分好みの世界だけになる
もちろん、顧客の側でも、検索の仕方を変えるなどして、ある程度、偏りを防ぐことは出来ます。でも、どんなに検索方法を変えたとしても、検索の裏では、AIが休みなく動いています。結果として、どうしたって自分が好きそうな本へ、どんどん誘導されていきます。そこは知っておくべきですね。
まあ、IT技術を駆使した優秀な司書さんだと思えば、それはそれでよいと思います。ただ、このパターンでは、過去の自分の選択と、全く違った選択というのは出てこないですよね。
一方で、人間というのは、突然、これまでの行動パターンとは、全く違ったことをひらめいたりすることもありますよね。それを、直感とかインスピレーションとか言ったりします。
直感、インスピレーション
そういうのは、AIは予測することはできません。AIは、データを与えられて、はじめて結果がだせます。データを与えられない限り、結果は出せません。人間のように、何となく何かを感じるということはありません。
リアル書店に行くと、あっちにふらふら、こっちにふらふらと、いろいろな本を見ることができますよね。今までの自分の好みとは関係なく、その日の気分のままに、あちこち、歩き回ることが出来ます。
その時に、いわゆるインスピレーションで、「あっ、この本、おもしろそう。」と感じる本があったりするわけです。「置いてある本が、私に、見て見て、と声をかけてくる」なんて表現する人もいますね。そういうのはネット書店では、なかなかないですよね。
本が私を呼んでいる
もちろん、ネット書店でも、今まで見たことがないカテゴリーの本を見ることはできます。最近ではサンプルを見ることもできますね。ですが、やはり、少し手間がかかります。
今まで読んだことがない領域の本っていうのは、中身の見当がつきません。最初に紙の本を、実際に手に取って、パラパラっとめくって、ざーっと見た時に得られる感触は大事ですよね。
街の本屋さん
今、街の本屋さんは、どんどんなくなっていっています。これは時代の流れなのでしかたがないんでしょうね。でも、個人的には、紙の本がおいてあるリアルの書店というのは、独特の雰囲気を持っていて、とっても好きです。なんとか生き残ってほしいなと思います。
といいながら、ほとんどインターネットで本を買っているので、すこし肩身が狭いですね。コロナが少し落ち着いてきましたので、これからは、もう少しリアルの本屋さんも利用していきたいと思っています。
ムッシュスカラー
PS:紙の本と、電子書籍のどっちがいいか?というようなことについては、いろいろな人がいろいろなことを言っていると思います。でもまあ、個人的には、どっちでもよいと思います。自分の都合で、自分の好みで、その都度選べば、それでいいんじゃないかと思います。場合によっては両方持っていてもいいと思いますし…。
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