企業の経営で、絶対に必要だと
言われていることの一つに
「選択と集中」
というのがあります。
企業の経営には
なくてはならない考え方だと、
多くの人に信じられているようです。
でも、それは常にそうなんでしょうか?
少し落ち着いて、よく考えてみれば、
「必ずしもそうだとは言い切れない」
ということがわかります。
それは、おそらくあなたも、
感じているのではないでしょうか?
特に、今のように世界中が、
政治的にも、経済的にも
大きく変化していく時代、
先が読めない時代では、
特にそうなのではないでしょうか?
先が見えない時代
少し前までのように、
世界の政治経済というものに、
一定方向の流れ、トレンドというのが
良きにつけ、悪しきにつけ
かなり明確に見えていた時代であれば、
将来の予測というのは、
やりやすかったかもしれませんね。
そのような時代であれば、
時代の流れ、トレンドに合わせて
自分が持っている資本を
「選択と集中」をして投下することで
「選択と集中」をしない場合よりも
大きな利益を得られたと思います。
トレンドに合わせた一点集中
この分野が成長すると予測したところに
一点集中で大きな資本を投下すれば
より大きなリターンが得られるわけです。
ただ、一点に集中することで、
大きな利益が得られる可能性が高い
ということは、
その一点を、間違えた場合、
投下した資本は、大した利益を生みません。
下手をすると、投資した分が
ほぼゼロになるということもあり得ます。
つまり、「選択と集中」を間違えれば、
大きな損失を出す可能性もある
ということになります。
自分の資本の全てを、
「選択と集中」をして投資することは危険です。
もし、大コケしたら、それまでです。
二度とやり直しは出来ません。
大コケしたらやり直しが出来ない
実際、世の中、そんなに甘くありません。
「選択と集中」というのは、
当たれば、利益は大きいですが、
外した場合は、損失も大きいです。
余裕がある大企業ならまだしも
中小企業や個人事業主のような立場の人には、
とても敷居が高いと思います。
先の時代が見通せない時の
「選択と集中」は、大きな賭けです。
運を天にまかせるような感じになりますね。
まさに神だのみという感じです。
私も含めて、一般社会の、
普通の人の感覚では
とても怖くて飛び込めません。
ローリスク・ハイリターンは無い
実際問題、世の中、ローリスクで、
ハイリターンなどという
そんな都合の良い話はありません。
成功するという確証が得られないなら
「選択と集中」は、したくても
出来ないということになります。
どうしてもやりたいなら
失敗した時のリカバリーまで
十分に考えたうえで
やっていくことですね。
ありがちな話ですが、
「選択と集中」という言葉を
信念としている人の場合、
選択と集中による「リターン」を
強く肯定するあまり、
想定される「リスク」を
軽視してしまいます。
リスク軽視は危うい
ひどい時には、
「このようなすぐれた戦略で、
失敗をするはずがない」
という強い意志だけで、
行動してしまうことがあります。
「選択と集中」というのも
ケースバイケースです。
「どのような状況であっても常に正しい。」
なんてことはありません。
状況が変われば、戦略、戦術も
変わるということですね。
「あえて『選択と集中』をしない。」
という判断もあり得ます。
多くの人は、もちろん私も含めて
何か一つ「よい話」を聞いたと感じると、
そればっかりに夢中になってしまって、
他の意見を聞けなくなりがちです。
時代が変わって、状況が変われば
「よい話」も変わります。
自分自身、すぐにはまってしまう
落とし穴のようなものです。
気をつけていきたいと思います。
ムッシュスカラー
PS:もちろん、時代が変わっても、状況が変わっても、どのような時にでも成り立つ「原理・原則」というようなものもありますね。でも、それは「選択と集中」という話とは、別の次元の話のようです。「原理・原則」というのは、人が何をどう考え、どのように行動しようとも逃れることが出来ないものです。「選択と集中」をしようが、「選択と集中」をしまいが、関係なく成立するのが「原理・原則」なのでしょうね。
PPS:先が見えない時には、行動を控えて「時期を待つ」という選択肢もあります。ただ、この「時期を待つ」という判断は、「何らかの行動をする」よりもさらに難しいように思います。先が見えない中で、いつまで待つのか?その見極めが難しいからですね。
PPPS:「選択と集中」以外の選択肢としては、「選択可能なことを、すべてやる」というのがあります。気力、体力があって、財力もあるなら、これも選択肢の一つだと思います。実行するのは、ものすごく大変ですが、もしかしたら最も確実に成果を上げられる方法かもしれません。